山に行くと何時も雨が降っている

人から音楽をもらうことについて

春。街に梅と水仙、湿気の匂いが立ち込め、気もそぞろで落ち着かない。あまりのことに冬の間は情緒が死んでいたのではないかとすら思う。 随分更新していなかった。思いつきで始めた書きものは三日と続かないのが常だが、こうして三年ぶりに開く気になるときも

含羞の袋小路

尾形亀之助という詩人が好きだ。誰かの文章を読んで、両手を挙げて全面的に支持したくなったのはこの人が初めてであった。亀之助は含羞の人である。含羞といっても、太宰の様にそれを前面に打ち出し過剰なサービスで読者を襲うのではない(「道化の華」のあれ

群衆に浴みする

東京が好きだ、とこのひと月ひしひしと感じた。といっても、決して僕が都会的にファッショナブルだ、と言っている訳ではない。自分の略歴について書けば、幼年期を福井で、少年期以降をまだ商店街の元気な東京の下町で過ごした、ということになるだろう。中学

はじめに

今日も一日湿っぽい。百舌鳥のつがいが低く飛んで藪へ消えた。 コロナ禍で在宅作業になってから一月ほど経つ。最近、上司とテレビ電話で打ち合わせをする際に長話をすることが増えた気がする。そもそも人付き合いのかなり悪い方だからあまり心配していなかった